礒江毅 | 忘れないための美術館

礒江毅


忘れないための美術館-isoe


平塚市美術館で昨年秋に開催された「礒江毅展」は見たかったのだけれど、さすがに関西から平塚市は気軽には行けない距離であり、展覧会チラシを眺めてあきらめることにした。それで、忘れるといけないので、少々記録しておく。上は礒江の作品、下記は平塚市美術館の展覧会の案内解説文。


透徹した描写力をもち、現代リアリズム表現を追究した画家、磯江毅(いそえつよし1954-2007)の作品を、初めて公立美術館にて紹介しました。 
 磯江は大阪に生まれ、1974年、西洋美術を本格的に学ぼうと19才でスペインに渡ります。王立美術館でデッサンの基礎を学び、プラド美術館に通って、デューラーやフランドル派の画家たちの名画の模写に没頭しました。マドリッドは、1970年頃から新たなリアリズム表現を求める画家の活動の中心地となっており、磯江は自らを「GUSTAVO ISOE」(グスタボ・イソエ)と名乗って、アントニオ・ロペス・ガルシアといった画家たちと交流し、80年代にはその運動を担う一人として活躍していきます。
 存在の実感―リアリティ―をつかんで平面上に写し取るリアリズム表現は、伝統的な西洋美術の根幹をなすものであり、20年以上をスペインに暮らして、それを体得した磯江の作品からは、事物の発するエネルギーやそれを取り巻く空間そのものさえ確固として感じることができます。「リアリズム絵画とは、実体とはフィジカルなものだけど、徹底した描写によってメタフィジカルな世界が見えてくるのを待つ哲学です」という磯江の言葉どおり、個人の情感や主観を排して描写に徹した画面からは、静謐で孤高な精神世界が現出しています。
 1996年からは日本にもアトリエを構えて、自分の学んだリアリズム絵画を伝えたいとしていた磯江ですが、2007年に53才の若さで急逝しました。作品の完成に長い時間がかかることもあり、寡作な作家の活動の成果を目にする機会は、これまであまりありませんでした。この展覧会では作品56点により、磯江が極めたその表現世界を展覧しました。』


掲載した作品は人体だけれど、私は静物に興味を持った。